シーケンシャルライティングと構造化ライティング ― 技術文書における最適なアプローチとは?

製造業、IT、ソフトウェア業界において、技術文書は製品とユーザーをつなぐ架け橋です。わかりやすく整理されたユーザーマニュアルやヘルプガイドは、ユーザー体験の向上だけでなく、サポートコストの削減にも大きく貢献します。
技術ライティングの手法には大きく分けて2つのアプローチがあります。それが「シーケンシャルライティング(順序型ライティング)」と「構造化ライティング(モジュール型ライティング)」です。それぞれに特長や適用分野が異なり、用途に応じた選択が重要です。
本記事では両者の違いをわかりやすく解説し、当社が提供する技術ライティングサービスの専門性をご紹介します。
🔹 シーケンシャルライティングとは?
シーケンシャルライティングは、従来型の文章構成法で、紙の本のように「はじめから順に読む」ことを想定したライティング方式です。「概要→設置→操作→メンテナンス」など、章立てされた構成が特徴です。
📘 主なツール:
- Adobe InDesign
- Microsoft Word
- Adobe FrameMaker
✅ 適した文書:
- 設備・機器のユーザーマニュアル
- トレーニング用教材
- 印刷配布用のPDFマニュアル
⭐ メリット:
- 読者にとっての読みやすさ(流れが明確)
- レイアウトの自由度が高い(美しく整えやすい)
- 初学者向けに適した構成
⚠️ デメリット:
- 情報の再利用が難しい
- 内容の更新に手間がかかる
- 多言語対応が非効率
🔹 構造化ライティングとは?
構造化ライティングは、情報を独立したモジュール(トピック)として分け、必要に応じて組み合わせて使うライティング手法です。代表的な構造としては、DITA XMLやPTXなどが用いられます。
各トピックは「概念説明」「操作手順」「参照情報」などに分類され、再利用や多形式出力が容易になります。
🧰 主なツール:
- Oxygen XML Editor
- DITA Open Toolkit
- MadCap Flare
- PTX編集ツール
✅ 適した文書:
- ソフトウェアのオンラインヘルプ
- ナレッジベースやFAQ
- 多言語・多製品対応の技術ドキュメント
- サポートポータル用コンテンツ
⭐ メリット:
- コンテンツの再利用が可能
- 更新や多言語展開が効率的
- HTML・PDFなど複数形式への出力が容易
⚠️ デメリット:
- 初期構築コストが高い(ツール習得が必要)
- 内容設計に高度なスキルが求められる
🔸 比較表:2つの技術ライティングの違い
比較項目 |
シーケンシャルライティング |
構造化ライティング |
読み方 |
順序的・連続的 |
検索型・タスク指向 |
情報再利用 |
難しい |
容易 |
書式自由度 |
高い(DTPベース) |
テンプレートベース |
出力形式 |
PDF、印刷物 |
HTML5、PDF、Web Help |
適用文書 |
機器マニュアル、教育資料 |
オンラインヘルプ、ナレッジベース |
🎯 選択の指針:どちらを選ぶべきか?
シナリオ |
推奨アプローチ |
印刷用の設備マニュアル |
✅ シーケンシャルライティング |
製品ごとのFAQ・トラブル対応 |
✅ 構造化ライティング |
バージョン違いの多い製品 |
✅ 構造化ライティング |
企業研修・教育教材 |
✅ シーケンシャルライティング |
🛠️ 当社の技術ライティングサービス
当社では、お客様の用途に応じた技術文書制作を、以下の形でご提供しています。
✍️ 順序型文書制作:
- ユーザーマニュアルの企画・執筆
- Word/InDesignでのレイアウト設計
- 技術図面・イラスト作成
- PDFの多言語翻訳・DTP
🔧 構造化コンテンツ構築:
- DITAやPTXによるモジュール設計
- CMS連携、HTML5出力対応
- 多言語対応と翻訳連携
- ナレッジベース統合支援
📩 お問い合わせ
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